老人ホームのイベントを季節ごとに紹介【参加する5つのメリットも】

老人ホームのイベントは、季節ごとの楽しみや生活のハリを生み、入居者のQOL(生活の質)向上に直結します。
実際に現場で多数のイベントを企画・実施してきた実績をもとに、春夏秋冬の行事や通年で人気の催し、参加する5つのメリット、レクリエーションとの違いや費用面まで丁寧に解説していきます。
この記事を読むことで「何を重視して施設を選べばよいか」が見えくるはずです。
施設選びの一助になれば幸いです。

老人ホームの春のイベント

春のイベントは、老人ホームで特に人気があり、季節感を感じながら楽しめるものが多くあります。
また、温かくなる時期でもあり、自然との触れ合いや気分転換にも適した季節です。
春に行われるイベントのひな祭りとお花見を紹介します。

ひな祭り

ひな祭りは日本の伝統的な行事であり、老人ホームでもひな祭りをお祝いするために、さまざまなイベントが開催されることがあります。
また、高齢者の方々にとっては、昔の思い出を共有し、地域の伝統を再確認する良い機会にもなります。
入居者と一緒にひな壇に人形を飾ることで、昔ながらの風習を楽しめたり、特別食として華やかな食材を使ったちらし寿司の提供もあります。

お花見

春の定番イベントで、桜の花が咲く時期に開催されます。

  • 屋外花見
    老人ホームの近くの桜の木が満開になる頃、入居者と一緒にお花見にお出かけをし、桜の花を見ながら、お弁当を食べたり、散策を楽しみます。
  • 室内花見
    老人ホーム内でも桜の花を飾ったり、桜の模様を取り入れた装飾を施し、春らしい雰囲気を楽しむイベントが行われることがあります。

老人ホームの夏のイベント

暑い季節を楽しく過ごすための工夫がたくさんされています。
老人ホームによって、屋内で涼みながら楽しめる「夏祭り」が開催されることがあります。
ヨーヨー釣りやスイカ割りなど、日本の伝統的な夏の遊びを取り入れ、懐かしい雰囲気を感じることができます。
また、涼しい時間帯で花火を行うのも夏の代表的なイベントです。
他にも七夕や夏の味覚を楽しむかき氷など、季節を感じられます。

七夕

老人ホームに笹の葉を飾り、入居者の方々に願い事を書いてもらい、笹に飾りつけを行います。
願い事を書く時間や飾つけを行うことで、他入居者の方と会話をするきっかけになります。
また、参加型の取り組みにもなり、スタッフとも一緒に楽しめるイベントになります。

かき氷

かき氷は夏の風物詩としても人気がある季節イベントのひとつです。
入居者の方にとっても子供の頃の懐かしさや夏の雰囲気を楽しむことができるイベントです。
かき氷コーナーを設け、様々な種類のシロップを用意し、お好みで小豆やフルーツなどのトッピングも楽しめます。
また、入居者の方が安心して食べて頂けるように氷は細かく削り、トッピングも食べやすいものを選定し、持ちやすいカップのサイズでかき氷を提供しています。

老人ホームの秋のイベント

秋のイベントは、涼しくなり過ごしやすい季節だからこそ、屋外でも屋内でも楽しめるイベントがあります。代表的な秋祭りと敬老会について紹介していきます。

秋祭り

地域とのつながりや家族の参加でにぎやかさを感じられる季節のイベントです。
たこ焼き、焼きそば、綿菓子など屋台風のブースを設け、模擬店では輪投げやヨーヨー釣り、射的、ボールすくいなど、懐かしい遊びをリハビリ感覚で楽しめます
また普段、会えないご家族と交流を深めたり、写真を撮って思い出に残すイベントにもなります。

敬老会

老人ホームでは毎年9月の「敬老の日」の時期に開催されることが多く、感謝の気持ちを伝える特別な日として大切にされています。
施設長からの感謝の言葉や米寿、白寿など節目の方へ、表彰状や記念品贈呈を行っています。
また、特別食として松茸の味ご飯やサツマイモの天ぷらなどの秋の味覚を楽しめる献立が喜ばれます。

老人ホームの冬のイベント

寒い季節でも元気に過ごせるように、施設内で楽しめる様々なイベントがあります。
ここではクリスマス会と節分について紹介します。​​

クリスマス会

老人ホームでも一年の締めくくりとしてとても人気のあるイベントです。
きらびやかな飾り、楽しい歌、美味しい料理など、五感で楽しめる要素がたくさんあり、入居者にとっても思い出深いひとときになります。
また、スタッフがサンタクロースやトナカイに仮装して、靴下やひざ掛けなどのプレゼントを配布し、賑やかな日となります。
そして、特別メニューでは、柔らかく仕上げたローストキチンやクリームシチュー、クリスマスカラーのサラダ、デザートにはクリスマスケーキと盛り上がるイベントです。

節分

日本の伝統行事で、老人ホームでもイベントを行うことが多いです。
豆まきを行うだけではなく「無病息災を願う」「笑って福を呼ぶ」といった意味を込めて、楽しくて縁起のいいイベントです。
スタッフが鬼に仮装をして各フロアを周り、入居者の方々が豆の代わりに、新聞紙ボールなどで鬼退治を行います。
最初は控えめに参加されている方もいますが、節分の「邪気払い」と「福を呼び込む」伝統を和気あいあいと楽しめるイベントです。

老人ホームの通年イベント

特定の季節に関係なく、年間を通じて実施しているイベントです。
参加者が気軽に楽しめる内容で、コミュニケーションの活性化や交流の場となることが多いです。
ここでは誕生日会とおやつ作りについて紹介します。

誕生日会

老人ホームではその月に誕生日を迎える方を皆さんと一緒にお祝いをします。
おやつの時間帯など祝う時間を設け、歌を歌ったり、スタッフによる手作りのメッセージカードやプレゼントを渡し、感謝やお祝いの気持ちを伝える特別なイベントでもあります。
入居者の方々と一緒に祝うことは、皆さんの笑顔が多く見られる特別な日となります。

おやつ作り

手軽にできるものを中心に、季節の味や思い出の味を取り入れながら、「作る楽しさ・食べる喜び・みんなで過ごす時間」が人気の通年イベントです。
特にピザ作りやお好み焼き作りが楽しみにされています。

  • ピザ作り
    ぎょうざの皮に具材をトッピングしオーブントースターを使用して簡単で安全に楽しめるおやつ作りです。
  • お好み焼き
    細かく野菜を刻むことで、噛む力が低下した方でも食べやすいおやつ作りです。
    また、生地を混ぜる、野菜を切るなどの作業をそれぞれが担当、役割を決めることで参加しやすく、昔から親しまれている思い出の味としても楽しまれる方が多いです。

スタッフや他入居者の方と協力して作業を行うことで、自然と交流が生まれるひとときです。
そして、手先を使う作業は運動や脳の活性化につながります
自分たちで作ったおやつを食べることで達成感や自己満足感が得られ、また次も参加したいと感じやすいイベントです。

老人ホームの人気イベント

多くの参加者から支持され、楽しみにされるイベントのことです。
参加者同士の交流が深まり、家族や地域の人を招いた交流イベントも喜ばれます。
このようなイベントは、季節感を味わうことや、日常に楽しみを加えることで施設での生活をより充実させる目的があります。

バーベキュー

屋外で楽しめるイベントです。
特に老人ホームでは、季節の良い春頃に開催することが多いです。
自然を感じながら食事を楽しめるため、入居者さんも参加しやすく喜ばれます。
柔らかいお肉など食べやすい食材を提供し、普段の食事とは違う非日常を味わえる楽しみがあります。

流しそうめん

老人ホームでも、「いつもとちがう食の体験」として大好評のイベントです。
箸を立てて、タイミングを見ながら麺を掴む、手を使って参加できる、ゲームのような感覚で楽しんでいただけます。
また、夏らしさを感じられる水の音や竹の雰囲気、冷たいそうめんが「涼」を届けてくれます。

アニマルセラピー

アニマルセラピーは、ストレス軽減や社会性の向上、認知症の改善などの効果が期待されており、老人ホームでも導入が進んでいます。動物との触れ合いを通じて心身の癒しを得ることができます。

たとえば、ドッグセラピーでは訓練を受けた犬と触れ合いを楽しむことで、情緒の安定や生活の質の向上を目的とした活動でもあります。

セラピー犬との交流を通じて、笑顔や会話が増えたり、自発的な活動の効果もあります。

老人ホームのイベントに参加するメリット

老人ホームでのイベントに参加することで、入居者の方にとって多くのメリットがあり、単に「娯楽」だけではありません。以下のような具体的なメリットがあります。
①脳の活性化
②身体機能維持・向上
③コミュニケーションの促進
④季節を実感することができる
⑤生活にハリが出る

また、会話や共同作業を通して、新たな人間関係や仲間意識が生まれます。
以下ではそれぞれ5つの項目を具体的に説明していきます。

脳の活性化

イベントに参加することは脳に多くの良い刺激をもたらすことが知られています。
特に高齢者にとっては、以下のような脳への活性化効果が期待できます。

新しい体験による学習

イベントでは、新しいことを学んだり試したりする機会が提供されることが多く、その経験が脳を活発にします。たとえば、手芸や音楽演奏といった活動は、創造性を刺激します。

記憶の活性化

音楽や季節のイベントなど、過去の思い出に関連する体験は、懐かしさを呼び起こし記憶を活性化します。
特に昔懐かしい歌や物語に触れることは、感情的な結びつきを通じて脳を刺激します。

楽しさや喜びの感覚

イベントで笑ったり楽しい時間を過ごすことは、ストレスを軽減し、脳にプラスの影響を与えるホルモンを分泌させます。
これらの要素が組み合わさることで、脳が活発に働き、認知機能の維持や向上に役立つのです。

身体機能向上・維持

運動量の増加

多くのイベントには軽い運動が含まれることが多いため、自然と身体を動かす機会が増えます。

たとえば、体操や身体維持のトレーニングは筋力を維持し、体の柔軟性を高める効果があります。

バランスと協調性の向上

屋外での散歩や、施設内でのウォーキング、園芸活動など身体を動かすことは、バランス感覚や体の協調性を鍛える良い機会です。
転倒予防や日常生活の動作改善につながります。

精神的なリフレッシュ

笑いや楽しみが伴うイベントはストレスを減らし、精神的な充実感を提供します。
ポジティブな感情は、身体全体の健康維持にも良い影響を与えます。

コミュニケーションの促進

コミュニケーションの促進を目的としたイベントは、入居者にとって非常に有意義です。
人との会話や交流は、脳を活性化させるだけでなく、心の健康にも良い影響を与えます。
また、他の入居者やスタッフとの交流をすることで、孤独感の軽減にもつながります。

季節を実感することができる

四季のイベントへ参加することでその季節特有の雰囲気を味わうことができます。

たとえば、季節にちなんだ食べ物や飲み物、夏なら冷たいスイカやかき氷が楽しめます。 春には花見、秋には月見や収穫祭など、特定の文化や季節行事を体験できるのが特徴です。

生活にハリがでる

楽しい時間を過ごし、目標を達成することで、生活にポジティブな感情が芽生えます。
共同で作品を完成させたり、他者と協力しゲームで勝利を収めたりする達成感が、生きがいにつながります。そして、「次のイベントが楽しみ」という充実感が生活のリズムや前向きな気持ちを生みだします。

イベントとレクリエーションの違い

老人ホームにおけるイベントとレクリエーションの違いは、目的や規模、参加の仕方にあります。

  • イベント
    季節行事や特別な日を祝う大規模な活動です。
    夏祭り、敬老の日の式典で多くの参加者が集まり、施設全体で楽しむことが多く、記念として写真を撮ったり、特別な食事や演出があります。
  • レクリエーション
    日常の活動の中で、楽しみや健康促進を目的とします。
    塗り絵、体操、歌唱というような小規模で行われ、個々の興味に合わせて選択が可能であったり、交流を深めたり、運動や脳トレになるものが多いです。

イベントの参加費

イベントの参加費は、施設や行事の内容によって異なります。
多くの老人ホームでは、以下のようなケースがありますが、具体的な費用が知りたい場合は、施設の案内や見学時など担当者に問い合わせることをおすすめします。

  • 参加費がかからない場合
    施設の予算内で開催されるイベントで、季節の行事や誕生日会など
  • 一部負担がかかる場合
    イベント食や秋祭りなど参加者に少額の負担
  • 全額負担の場合
    外出イベントのスタッフ同行費やアニマルセラピーなどへの参加費

まとめ:イベントは「生きがい」と「笑顔」を生み出す大切な時間

老人ホームでのイベントは、ただの行事ではなく、季節の喜びや身体と心の健康促進、そして他者との交流、社会的なつながりを生み出す、非常に有意義な時間を提供します。
そして、それぞれのイベントは、参加者にとっての「生きがい」や「楽しみ」を作る重要な役割を果たしています。
入居者の方々が心身共に豊かで充実した時間を過ごせるよう、スタッフ一同さまざまなイベントを企画し運営していきます。

私たちと一緒に笑顔の日々をすごしていきましょう。